夏場は意識して水を飲むけれど、それ以外の季節に水分を取るのは意外と難しいものです。
特に冬場は水を飲むと体が冷えてしまいますし、いつ飲んだらいいのか分からないという人も多いのではないでしょうか。
そこで、1日に必要な水の量と、水を飲む重要性、そして水分量が足りないとどうなるのかなど、水を飲むタイミングや注意点について考えてみたいと思います。
この記事でわかること
1日に必要な水分の量とは
一定の水を飲まないと、熱中症や脱水症状の危険性がある他、脳梗塞や心筋梗塞の可能性があります。
これらのリスクを踏まえ、厚生労働省は「健康のために水を飲もうという運動を実施して、水分補給の重要性を訴えています。
人の体は60%が水分で構成されており、水分を摂取して尿や汗、便として排出するため、2ℓ~2.5ℓの水が必要とされています。
しかし、身長や体重などの体格差があるため、年齢や体重、そして活動量に応じて必要な水の量が違います。
これは、20代と60代では活動量が違いますし、吸収できる水の量も変わってくるためです。
では、具体的にどれくらいの量が必要なのか、次の章で年代別に必要な量を見ていきましょう。
年代別に必要な水分の計算方法
1日に必要な水の量を知るための計算式は、体重×年代で簡単に計算することができます。年代別に目安となる量は以下をご覧ください。
・30歳未満:40ml
・30歳~55歳:35ml
・56歳以上:30ml
年齢が若いほど量が多いということになります。
上記を参考に、体重が60㎏で年齢が30歳、40歳、60歳の人を比較してみると、以下のような結果になります。
30歳で60㎏=2400ml(計算式:60㎏×40ml)
40歳で60㎏=2100ml(計算式:60㎏×35ml)
60歳で40㎏=1800ml(計算式:60㎏×30ml)
同じ体重でも30代では2400ml、60代では1800mlと大きな差になるので、年齢に応じた正しい量を把握しておくことが重要なポイントです。
上記の計算式に当てはめ、1日に必要な水分量を計算してみましょう。
水分を取る重要性
生きていく上で水は必要不可欠ですが、水分を取る重要性について分かっていないという人も多いかもしれません。
水分を取る重要性が分かると、水を飲む意識も変わってくるので、体と水分の関係について改めて確認していきましょう。
まず、水は体の中に入ると、運搬と体内の環境を維持するという大きな役割があります。
具体的には、
・体温調節
・血流改善
・便通改善
・代謝アップ
このような役割を担っているのです。
どれも聞いたことがあるものばかりなので、ひとつずつチェックしていきましょう。
体温を調節する
人間の体は汗をかいて体温調節を行いますが、汗以外にも呼気や皮膚から絶えず水分を放出し余分な熱を調節しています。
しかし、排出のみでは体が維持されないため、水を補充して36~37度の平熱を一定に保っているのです。体温を一定に保ち、なおかつ体温を調節するために水は必要不可欠となります。
熱が出た時に汗をかくというのも、汗を放出して熱を下げる働きをしているものであり、熱を下げるために水分補給は欠かせません。
これが日常生活の中でも絶えず行われているのです。
血流が改善される
血液のほとんどは水で構成されており、血液の流れが悪くなると冷えやむくみといった症状となって現れます。
血液がうまく循環しない状態を、俗にドロドロ血液と呼びますが、血液中の水分が不足している場合も、血流の流れが悪くなってしまうこともあります。
水分が満たされていれば、血液の循環が良くなりますし、水分が足りないと流れが悪い状態に陥ってしまうので、血液と水分は密接な関係を保っています。
血液中に含まれた酸素や栄養素を運び、老廃物を回収するという働きをスムーズに行うためにも水分は必要不可欠であることを意識しましょう。
老廃物を出すので便通が改善される
血流の流れが良くなると、酸素や栄養素が体のすみずみまで運ばれ正常な新陳代謝が行われます。
さらに、不要な老廃物を出できるため、便通が改善されます。
水を飲むことで、腸管のぜん動運動を促し便意を誘発します。
さらに水分が便を柔らかくするため、自然な便意による老廃物の排出が可能となるのです。
便秘に悩んでいる人も多いものですが、水分も関係していることを再確認し、1日に必要な水の量を毎日継続して飲むようにしましょう。
代謝が上がる
水を飲むと、血流の流れが良くなり体内に取り入れた栄養素が血液に含まれて運ばれるスピードが早くなります。
細胞が活発に働くようになると、使われるエネルギーが増えるため、代謝が上がるのです。
お水を飲むと体温が一時的に下がりますが、体温を元の状態に戻すのにもエネルギーが必要となります。
寝ている間も常に心臓や細胞は動き続けているので、基礎代謝プラス活動量が摂取したカロリーよりも低ければ体重を減らすことも可能です。
水にはさまざまな健康効果が期待できます。上手に取り入れることができれば、血行が良くなり老廃物が排出されます。さらに、基礎代謝が上がるのでダイエット効果も期待が持てます。
水分は生命維持には欠かせないひとつですが、健康を維持するためにも必要不可欠であることを改めて意識して飲むようにしましょう。
水分量が足りないとどうなる?
水には、体温調節の他、運搬と体内環境の維持という大きな役割があることが分かりました。では、水分量が足りないとどのようなことが起こるのでしょうか。
厚生労働省が啓発している「健康のため水を飲もう」の運動では、水と体の関係について詳しく解説しています。
体は60%の水分で構成され、5%が失われるとのどが渇くといった熱中症の症状が現れ、脱水症状の危険性が伴います。
さらに、体内の水分が10%失われると、筋肉がけいれんするなど機能不全が現れます。
さらに水分不足が深刻になり、体内の水分が20%以上失われると、死亡するリスクが高まります。
これは、熱中症が起こる夏場だけとは限りません。年間を通して体内の水分量を意識する必要があるのです。
のどが渇くというのは、脱水が始まっている証拠なので、こまめに水分補給を心がけることが、これらの症状を回避する予防法になります。
水分を取りすぎるとどうなる?
水分は不足してもいけませんし、取りすぎてもさまざまな症状となって体に現れます。水分の取りすぎで注意が必要なのが、水中毒と低ナトリウム血症です。
水中毒とは、水を飲むことが中毒化してしまい、たくさん飲んでしまう病気です。過度なダイエットやストレス、不安や妄想などさまざまな要因で中毒化してしまう可能性があります。
水中毒に至らない場合でも、水分の過剰摂取で血液中に含まれるナトリウム濃度が低下してしまう低ナトリウム血症も注意が必要です。
低ナトリウム血症になると、めまいや吐き気、頭痛や下痢、頻尿という症状となって現れます。
これがさらに進むと意識障害や呼吸困難に陥るため注意が必要です。
1日に必要な水の量は体重×約35mlで計算することができるので、およそ2ℓ~2.5ℓが平均となります。
これを超える水を飲むことや、一回に飲む量を増やしてしまうと血液中のナトリウム濃度が低下してしまうので避けなければいけません。
水を飲むと得られる効果もありますが、飲みすぎも危険であることを頭に入れておきましょう。
ダイエット中に必要な水分量は?
1日に必要な水分量が分かると、次にダイエットしている時にはどれくらいの量が必要なのか気になる人も多いのではないでしょうか。
ダイエットといっても食事制限や置き換えダイエットなど、種類がたくさんあります。運動をメインにしてダイエットするなら、汗をかく分、プラス@で水分補給が必要です。
摂取カロリーよりも消費カロリーを増やすなら、運動前と後で水分補給をして上手に水を活用していく必要があります。
まずは1日に必要な水の量を知り、どのタイミングで飲むのか習慣化した上で、ダイエットの計画を立てるようにしましょう。
水を飲むタイミング
1日に必要な水の量は体重や年代によっても変わってきますが、1日2ℓ~2.5ℓの水を毎日飲み続けるのは意外と難しいものです。
ここからは、水を飲むタイミングを具体的にご紹介したいと思います。
起床時にコップ1杯で水分補給
意外と見落としがちなのが、朝起きた時の水分補給です。
寝ている間にコップ1杯程度の汗をかくと言われています。
寝ている間に失われた水分を補給するため、起きたらコップ1杯の水を飲んで腸に刺激を与え、体を目覚めさせます。
冷たい水を飲みたい所ですが、長く続けて習慣化させるためには、季節を問わず飲み続けられるように配慮するのもポイントです。
常温のお水をゆっくり飲んで体を起こしてあげます。起きたら水を飲むというのがルーティーンになるように、まずは1日、1週間と続けてみましょう。
内臓を温めて消化力を高めたいなら、人肌に温めた白湯をゆっくり飲むのもおすすめです。
ウォーターサーバーの水とお湯をミックスさせるなど、いろいろな方法を試して自分に合ったものを見つけるようにしましょう。
汗をかいた運動後に水分補給
運動はランニングや筋トレだけとは限りません。散歩やウォーキングも運動のひとつなので、動いて汗をかいたと感じたら水分補給を行います。
通勤や買い物、日差しが強い中での外出後には必ずお水を飲んで、出ていった水分を補給します。
運動した後は、活動後はもちろん、外出から帰ってきた時も意識して水分を取るようにしましょう。
食事前の水は消化と吸収を促す
食事の前は胃の中は空っぽの状態です。食前にお水を飲む胃酸の働きが活発になり消化と吸収を促すことができます。
食事の30分程前に飲むのが効果的ですが、空腹時にコップ1杯の水を飲むようにしましょう。
食事中に飲み物を飲む人も多いと思いますが、食前の1杯も意識するようにしてみてください。
入浴前に発汗を促すための水
1日の疲れを取る入浴も水分補給するタイミングのひとつです。お風呂派の人もシャワー派の人も、入浴前のお水は発汗を促してくれるので、入る前に飲むとより効果的です。
入浴中の水分補給は難しいので、入る前にコップ1杯の水を飲むように意識しましょう。
入浴後は失われた水分を飲んで補給
入浴中はたくさんの汗をかくので、水分を拭き取りさっぱりしたら、水分補給を行います。
入浴後に飲むビールも最高ですが、ビールを飲む前にコップ1杯の水で体を潤します。
この1杯で体内の水分が保たれ、血流の改善や体温調節に大きな役割を果たします。
たくさん汗をかいたと感じたら、プラス@で水分補給を行い、体を満たしてあげます。
こまめな水分補給が大事なので、入浴前後には意識してお水を飲むようにしましょう。
就寝30分前に体温を下げるお水を飲む
1日の生活の流れに沿って、水分補給のタイミングを見てきましたが、最後は寝る30分ほど前にお水を飲んで睡眠の準備へと入ります。
睡眠中にはたくさんの汗をかくので、寝る前の水は脱水を防ぐ目的もあります。
さらに、質の良い睡眠を取るためには、体の深い部分の体温(深部体温)を下げる必要があるため、体温を下げるために水分補給が重要となるのです。
リラックスして寝られるように、寝る直前ではなく30分程度前に飲んで睡眠へと移行させていきましょう。
水を飲むタイミングは、習慣化させることで無理なく続けることができます。
水を飲むタイミングは以下が目安となります。
・起床時
・運動後や活動後
・食事前
・入浴前
・入浴後
・就寝前
飲む量はコップ1杯程度が目安ですが、試しながら調整しご自身のライフスタイルに合ったタイミングを見つけていきます。
自分に合ったタイミングを模索していくことが、長く続けるコツになります。
水を飲む時の注意点
1日に必要な水分量や、水分を取る重要性を再確認し、水を飲むタイミングを見てきましたが、水を飲む時に注意しなければいけない点があります。
どんな点に注意したらいいのでしょうか。ひとつずつチェックしていきましょう。
小分けにして飲む
1日に必要な水分の量は、体重や年齢によっても変わりますが、およそ2ℓ~2.5ℓ程度です。
500mlのペットボトルなら4本から5本程度ですが、一気に飲むと血液中のナトリウム濃度が低下してしまい、めまいや吐き気を引き落とす低ナトリウム血症になってしまいます。
一回の量はコップ1杯程度(300ml)を目安にし、一気に飲まないようにします。
そのためには、飲む量を分けて飲む必要があります。
コップ1杯程度を上記のタイミングを意識して7回~8回飲むと摂取量の目安をクリアできるでしょう。
500mlのペットボトルなら、3回に分けて飲み終わるのが理想になります。
のどが渇く前に飲む
のどが渇くと水分を欲しますが、これは体が水分を求めている状態なので脱水症状に近い状態に陥っている可能性があります。
のどが渇くと感じる前に飲むことが重要なポイントになりますが、水分を欲しているかどうかは分かりにくいので、飲むタイミングを意識して習慣化させると、無意識に水分補給することができます。
夏場は特に熱中症になりやすいので、のどが渇く前に飲む。を意識するようにしましょう。
アルコールを飲んだ時はいつもより多めに水分補給が必要
水はお茶でも代用可能ですが、カフェインには利尿作用が含まれているので尿として排出されてしまいます。
そのため、コーヒーや紅茶は水分にはカウントせず、水またはお茶など、カフェインが含まれていないものを選びます。
また、アルコールも同様、利尿作用があるため注意が必要です。
アルコールを飲んでいる途中には、適宜水を飲んで水分補給をし、帰宅したら尿として出てしまった水分補給を意識するようにしましょう。
目安の量を毎日飲み続ける
最後は、1日に必要な水の量を毎日続けるという点についてです。朝起きてから寝るまでトータルで水分量が取れていれば問題ありません。
大事なのは、続けるということ。飲み会や帰宅が遅くなると生活リズムが乱れてしまうので、水を飲むことを習慣化させることが重要です。
そのためには、いろいろな方法を試してあなたのライフスタイルに合ったタイミングと量を見つけていきます。
飲み忘れても1日の中でバランスが取れるように、実際にやってみて軌道修正していきましょう。
まとめ
1日に必要な水分量は年代と体重によって変わってきますが、およそ2ℓ~2.5ℓほどです。
健康維持には欠かせないお水を最大限生かせるかどうかは、飲み方や量、回数によって変わってくるので、自分にできる方法を見つけていくことがポイントになります。
上記のタイミングを見てぜひ生活の一部に取り入れてみましょう。